羽ばたけトリ先輩

羽ばたけトリ先輩

沖縄生活10年。独学で行動心理学を学んでいて、人間関係や動物のしつけなどに応用中なので、そこから感じたものを書いています。

虐待の原因は罰の与え方にあった?罰が効かないワケと重大な副作用についてまとめてみた。

こんばんは、トリです。

 

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 この記事の反響が5か月の間で良かったので、色んな方が同じ悩みを抱いているんだなと実感しております。

記事を書いたのが4月なので、ちょうど新人教育に悩んでいる方が読んでいるのでしょうか?同様の悩みは僕の会社でも起こっていますが、スタッフのみんな頭を抱える日々です。

上の記事で「強化の原理」の話をしましたが、これは人が行動を繰り返す原理。

しかし、これだけではありません。痛い目を見ることも私たちの学習の中に含まれており、これが問題でもあります。

 

痛い目をみて学習する

この世の中、良い事ばかりで世界が成り立っていると思ったら大間違いです。

良い事もあれば悪いこともあるというのが世の常なわけです。

 

例えば、熱いものを触って火傷した経験がある人は、熱したヤカンを不用意に触ることは無くなりますし、ふざけて高い場所に上った結果落っこちた僕の兄は、それ以降無意味に高い場所に登らなくなりました。

 

悪い結果を経験することで、その後の行動に大きな変化が生じ、同じ危険を避ける事を学習したわけです。

こうした痛い目を見る学習のおかげで僕たちは不用意に扉を突き破ることなく部屋に入ったり、無駄に車にはねられることなく、この世界で生活が出来ているのです。

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行動したあとの結果が、自分にとって良くないことが起き、行動の頻度が減る事を「正の罰」や「負の罰」と言います。

もしくは「弱化」とも言われます。でも罰と聞けば何んとなーくイメージはありますね。

ちなみに、罰と言っても「正の罰」と「負の罰」の二種類があり、その内容も大きく違います。どちらも効果は行動を減らすことができるです。

正の罰

「生の罰」の例を出すとすれば、車のドアを触った直後、静電気が起きる事や濡れた手でグラスを滑らせ落として割る。慌てて行動した結果、足の小指を家具の角にぶつける。なんてのがあります。(例が偏ってすみません)

こうした痛い目をみるタイプの罰は「正の罰」と呼ばれます。(直後に起きるが前提)

 負の罰

「負の罰」とは警察が使った罰金や「のび太!廊下に立っとれ!」ってやつです。

反応コスト

反応コストは物的な対価を支払わせるタイプの負の罰です。

支払った対価は返ってこないのが特徴です。

シートベルトをしなかったため罰金5千円などが、その例です。

タイムアウト

タイムアウトは機会を奪うタイプの負の罰です。

宿題を忘れた結果、みんなと同じ部屋で勉強する機会を一定時間奪います。

ドラえもんの先生はのび太少年にタイムアウトを使用しているわけです(全く効果は出ておりませんが)

罰について

さて、ここからが一番話したかった話。(長くなってすみません)

僕がこのブログで話した「弱化」は「正の罰」や「負の罰」とも言うことがあるのですが、この罰の認識が日本社会の中で全く違ったものになります。

僕が行動分析学という心理学を学んで結構衝撃的だった話です。

 

例えば、某有名なサザエさんで悪さばっかりしているカツオ君。

この人、悪さがバレるたびにお姉さんやお父さんから失跡やゲンコツなど「罰」を受けていますが、一向に改善が見られません。

 

これは簡単に言うと「罰」になってない。ということになります。

つまり「効かない罰は、罰じゃない」です。お姉さんやお父さんがK君に与えた罰がしっかり効果があるのだとしたら、カツオ君は悪さを繰り返さないでしょう。

本来、罰は非常に効果がありなおかつ扱いが難しい自傷行動にも対抗できる手段なのですが、間違って使うと余計なことを覚えたり、エスカレートして虐待に繋がることもあり得ます。

罰の使い方

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罰を使うためにはかなりの注意が必要です。(なので使用は勧めません)

それは罰には副作用があり、この副作用が非常に厄介だからです。最近、動物園で飼育員さんが、強化の原理を使って調教している動画がyoutubeでUPされていましたが扱いの難しい「罰」をわざわざ使うよりコスパがいいですし、問題も少ないですね。

 

罰の使い方は以下の通りです。

  • 適度な強度を意識し、強すぎず弱すぎず与える。
  • 一貫した罰を与える。
  • 問題の行動の直後に与える。

この三つを意識しなくてはいけないと感じます。

 

一つ目の「適度な強度」とは、強すぎると副作用が強く出ますし、弱すぎると効果がありません。効果のない罰は罰ではなくなりますし、罰という刺激に慣れてしまう問題も生じます。

 

二つ目の「一貫した罰」とは、特定の問題となる行動に対して必ず罰が出る状況を作らなくてはいけません。簡単に言うなら、盗み食いしたら必ず電気ショックです。

 

三つ目の「問題行動の直後」は、言葉の通り問題の行動を起こした60秒以内に罰を与えなければなりません。それ以降は効果が無いからです。

 

以上の三つが罰の使う上で注意するポイントとなります。

言うのは簡単ですが、一つ目の適度な強度も、一貫した罰も問題行動の直後も非常に難しいことばかりです。

罰の副作用

なにより「罰」に関して一番難しい問題。それが「副作用」です。

罰には与えることによって副作用が「必ず」生じます。なので扱いが難しいのです。

罰の副作用は以下のようになります。

  • 誤った強度によって怪我をさせる。
  • 与えられた側が罰に慣れる。
  • 与えた側の強度が強くなっていく。
  • 罰を多用しすぎてしまう(罰に依存する)
  • 無気力化
  • 攻撃的になる。
  • 罰を与えられる前に逃げる。
  • 罰を与えられた直後に逃げる。
  • 倫理的に問題

思いつく範囲で挙げると以上のようになります。

これだけでも使用することの難易度が伝わりそうですが、やはり問題は……全部ですね

 

罰は強度が重要ですが、強すぎる罰は相手に怪我をさせてしまいます。

動物は必ず「慣れ」が生じますので、使用者や与えられる側が罰の刺激に慣れてしまうことも重大な問題です。

罰を使って問題が改善された使用者は、問題が起こるたび罰で解決することを学習してしまうので、結果エスカレートし「虐待」など重大な問題を引き起こします。

実際、最近よく目にする虐待事件では「しつけのつもりで」なんて馬鹿げたことを言う親が多く見受けられますが、やっていることは虐待の他ありません。

 

罰を与えられたものは、罰から逃げます。当然です。

学習が進むと、罰が与えられる雰囲気を察して逃げるようになります。賢いです。

逃げることも許されず、ただひたすら罰を与えられたものは攻撃的になり、報復もあり得ますし、報復することが出来なくなったものは、無気力化します。

 

そもそも、毎回問題行動に罰を与える手法は倫理的に問題です。

 

さらに重大なことは「罰では正解を教えることができない」ということ。

失敗ばかり目を向け罰を与え続けても、結局相手を正しい方向へ導くことは「罰」の効果には無いのです。

最後に

今回は罰について書きました。

未だに無くならない「虐待死」のニュースをみると、しつけのつもりでやった。なんかの言い訳をよく目にしますが、罰の副作用に飲み込まれ、歯止めの効かなくなった人間の言い訳に聞こえてなりません。

もう一度書きますが、罰には相手を正しい方向へ導く効果はありません。

やはり、褒めて伸ばした方が相手も自分も幸せに過ごせそうです。

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